アメリカでこれを実践して年収アップ!給与交渉は転職時が一番自分を高く売れる!給与交渉術を解説

日本で働いていたら給料を交渉することなんてほとんどないから、アメリカで働くときに給料を交渉するのが苦手。実際、交渉の余地なんてないんじゃないの?そんなことはありません!給与交渉の疑問にお答えします。

今回の記事では、私がアメリカで実際に給料交渉するためにリサーチしたことを解説していきます。ちなみにこの記事はアルバイトやインターンではなく、働き始めて数年以上の経験がある方を前提としています。旅行資金の貯金には以前のブログもご参考ください。

旅行資金を捻出するには、支出を減らす、または収入を増やすことが必要です。老後資金を早く貯めて仕事に縛られない自由の身になる、Financial Independence Retire Early (FIRE)というブームがありますが、あえて訳すと「経済的な独立を確保して、さっさと自由になろう!」という感じでしょうか。FIREを目指しているけど、副業するのはたいへんだし、地道に投資でがんばっていきたいけど、投資額を増やすために今の職種で給料あげられないかな、なんて思っている方、多いのではないでしょうか。

そこで今回注目したいのは、給与報酬の交渉をして収入を増やすこと!

目次

給料を交渉するのにベストなタイミングは、転職時の内定後、採用前!

アメリカで仕事を探していて希望の給料を願書に書く欄があったり、なくても面接をすすめるにつれて、お給料はどのくらいを希望しているのかを聞かれることがありますよね?願書には「私の経験に応じた相場で」とあいまいに答えてしまったとしても面接がすすむにつれて必ずこの質問はやってきます。希望の給与は聞かれるタイミングにより雇用主側の意図が異なります。

応募書類での希望額はレジュメをはねられないように配慮

求職者が職に応募する初期の段階で希望の報酬額を聞かれる場合は、雇用主側の意図としてはレジュメをはねるためです。雇用主側は一つのポジションに対し予算というものがある程度あります。その上限からかけ離れた額を報酬額として希望している人を面接しても時間の無駄です。なので申込書に希望の報酬額を書く欄がある場合はその意図を考慮して記入しましょう。選択肢としては以下の通り。

  • 空欄のままにする → レジュメをはねられるのを防ぎ、面接がすすむにつれて交渉することをそれとなく伝える。雇用側としては空欄回答を嫌う傾向があると思いますが、自分の経歴と応募する職が十分マッチしているなら大丈夫かと思います。
  • 幅広い額を記入 → レジュメをはねられるのは予算の上限を大きく超えている場合なので、それを防ぐため相場の下限から自分が妥当だと思う額より上の額まで幅を広げる。そうすることで交渉の余地を残しておく。
  • 自分の中で最低の許容範囲だと思う報酬額を記入 → 最低の報酬額は理想の条件がそろっている場合なら許容範囲ということと交渉時に伝えて、その職の条件を知るにつれて希望額を変更する。

面接最終段階や内定時の給与交渉の雇用主側の意図は採用

最終面接や内定の時点になると雇用主側としてはあなたを採用する意図をもって希望報酬額を聞いてきます。特にミッドキャリアやシニアレベルともなると面接も何人もの面接官がいて、複数回面接することになります。皆の時間を調整して面接するだけでもかなりの労力をすでに雇用主側は費やしています。数ある応募者の中からあなたを選ぶまですでに何か月も過ぎていることもあります。雇用主側としてはようやく雇いたい応募者を見つけたのですから、ここで選考は終わりにしたいという希望があるものです。この時点で希望報酬額を聞かれた場合の回答の仕方はこんな感じでしょうか。

  • 雇用主側の報酬額予算の範囲はいくらなのか質問する。自分が許容範囲の額がその範囲に入っていたら、それでよい旨だけ伝える。
  • なるべく固定した額を言うのではなく幅広い範囲で希望を伝え、条件により実際の報酬額が変わると伝える。
  • 給与以外の報酬のパッケージ(compensation package)も質問する。401Kのマッチング、有給休暇、フレックス制など。
  • 報酬額を提示されたら、即答せずに考えたいといって時間をもらう。

自分がいくらほしいかは必ず決めておこう

自分が欲しい報酬額があやふやだときちんと給与交渉ができません。自分の希望を全く提示できない、または希望額が決まっていないという印象を与えてしまうと以下のような問題があります。きちんと自分がいくらほしいかは必ず決めて、それより少し上の額を念頭に置いて交渉をすすめるのが大切です。

情報力がないことがばれる

しっかり調べる気がない、または調べる力がないと思われてしまう可能性があるのです。特にビジネス・マインドを要するような職種だった場合、それだけで印象が下がってしまうことも。

自分の価値を知らない人だと思われる

文化的に日本で自分の欲しい給料を提示するとか、能力があっても他の従業員の方と同じではなく、はみ出すような額を要求するとかあまり考えられないのではないのでしょうか。ところがアメリカではちゃんと自分の求めることを伝えないと、自分の価値を知らない人だと思われたり、最悪の場合は労働者としての価値があまりない人、と思われてしまうリスクがあります。

採用側の好きな報酬額を提示されてしまう

自分で提示しないと、採用側の好きな報酬額を提示されてしまう。アメリカは自己主張の文化と言われていますね。もちろんすべての場面がそうではありませんが、日本と比べると自分の意見を言うことを求めらる場面は多いです。自分のことを決めないでいると、誰かがあなたのかわりに決めてしまう、だから黙っていると、雇用主の都合の良い報酬額を提示されてしまい、交渉の幅の真ん中が雇用主の都合のいい額になってしまいます。もちろん市場価値からあまりに外れた報酬だと雇えない・できても辞めてしまうもの。けれど本来の市場価値の下限に近い給与で仕事を始めてしまうとその後何年もその報酬額で、どんどん市場価値の幅からずれていってしまうリスクが高くなります。

かといってあまりに相場とかけ離れた報酬を要求すると面接しても時間の無駄だからとレジュメをはねられてしまう可能性があります。なので相場と自分の能力・経験を考慮して希望する給料を提示しましょう。

ちなみにオファーが出てからの交渉は、多少、雇用主が考えていた額とずれていてもオファーを取り消しになることはありませんが、相場に合った額を求めることで、自分の能力をアピールする機会にもなりそうですね。

情報は給与交渉の武器!インターネットとネットワークは大きな味方。

マーケット・レート、つまり市場価値を知ることはとても大切です。でもみんなお金の話しはしないからいったいマーケット・レートがどのくらいなのか、わからない・・・。これから卒業して仕事を始める方、まだ働き始めて数年の方、さらには同じ職場に何年もいた方にはありがちな悩みです。まずは気軽にできるオンラインでの検索から初めて見るとよいでしょう。一般的な相場を見たいならsalary.comで見てみましょう。職種、地域を入力するとグラフが出てきて相場の幅を見ることができます。もう少し踏み込んで見てみたいならGlassdoorがおすすめです。その地域の相場の幅だけでなく、過去に誰かがデータを提出していたら会社・組織名ごとのデータも見ることができるので給与交渉にとてもお役立ちです。アカウント作成時に自分の現在の職場、職種と年収を入力するように求められます。給与は幅で示されるので、自分の職場でその職種が自分一人といった状態でない限り、個人の特定はできないように表示されるので安心です。

Salary.comでの検索結果の一例

あまり知られていませんが、公務のお仕事をしている方々のお給料は公開されています。例えば州立大学なら大学のホームページで公開されていますが、部外者にはアクセスが制限されていることがあり簡単にアクセスできない場合もあります。大学によって図書館を通してデータを送ってもらうなど、方法が異なるので公立の大学の仕事に応募する場合は大学のホームページを色々調べることをおすすめします。

さらに自分のネットワークも利用してリアルな情報を入手することもできるかも。例えば仲良くしている同僚が転職する際に、新しい職場での給与をズバリ聞けることも。それが難しいなら、今の職場よりどれくらい多くなったかを聞くものありです。同じ職種で別の組織で働いている友人などに聞くのもありです。個人の給料は言いにくくても、その職場での新卒、中級、シニア級のお給料の目安を聞くと教えてくれることもあります。

基本的にお金のことを秘密にするのは雇用者側が優位に立つためだと思います。公開してしまうと同じ能力なのに差があるのはどうしてかといった波風が立つからです(しかるべきと思いますが)。ハリウッドの役者の女優さんの報酬が、男優より断然少ないとか、全米女子サッカーの方がずっと活躍しているのに全米男子サッカーの選手の方が報酬がすごく多いとか、やっぱり報酬の情報が公開されたからこそ、わかったことであり、そのおかげで差別的な報酬が是正されたりしたので、私は個人的には同業者には自分の給料は聞かれれば喜んで答えます。好奇心だけで質問しているわけではないからです。こういった前置きをしてから聞くと、教えてくれる人は多かったです。

同じ職種で同等のレベルのお仕事で、より良き給料や待遇、環境を求めて転職するときは給与交渉のよいタイミングですが、現実的には給与の大幅アップは、今の職場で自分の給料が相場より低かった場合くらいでしょう。残念ながら同じところで長く働くほど、相場の下限へと近づいていくことが多いです。なぜなら現職の人の給与の上昇のペースはゆっくりめ。おおむね数パーセントでインフレ率より少ないことが多い。新しい人材の獲得のためには、雇用側はインフレ率や人材の需要と供給を加味して、競合できる額を提示しなければならないので、上昇率が現職者の給与調整率より高いことが多いからです。

コンパ比率を活用して、自分の市場価格の目安を決める。

自分が公正に給与を払ってもらっているのかどうかの目安として役立つのがコンパ比率(Compa-ratioまたはComparative Ratio)です。組織によって計算の仕方が少し異なることがあるのですが、一般的にはコンパ比率は、ある人の給与を相場の中央値と比べた比率を示しています。コンパ比率の1.0(または100%)は、その人の報酬が中央値と同じであることを示しています。コンパ比率の0.8(または80%)はその人の給与報酬が中央値より20%低いことを示しています。

一般的にはコンパ比率が0.8かそれ以下になると給与のステップアップを求めて労働者が離職してしまうリスクがあると言われています。例えば新卒でまだ経験がないなら初めの数年はそれでいいかもしれませんが、ミッドキャリアくらいになってくるとちゃんと相場の中央値を払ってもらうのがいいですよね。能力が高いのにコンパ比率が低いならお給料の交渉、または転職のタイミングかもしれません。経験のある方なら、転職時は迷わずコンパ比率1.0またはそれ以上から交渉を始めるとよいでしょう。

コンパ比率を考慮するとき、自分の職場で他の人たちのコンパ比率がわかれば、自分の給与の立ち位置がわかります。自分と同等の職歴、能力を持つ人が自分より給与が多ければ、次のパフォーマンス・レビューのときに交渉してみましょう。自分と同じ職種の人が組織内にいなくても、他の職種の人がみんなコンパ比率で中央値に近いのに、自分だけかけ離れて低いなら、ここも交渉時かと思います。

ただ分野によっては給与が低めに設定されているところがあります。例えば非営利団体は民間企業に比べてコンパ比率が全体的に低めです。公共のお仕事もコンパ比率は若干低めです。安定性が高いことと民間企業より福利厚生が整っていることが多いからかと思われます。そういった場合は給与報酬以外の待遇・福利厚生を考えて割に合うかどうか検討しましょう。

雇用側が給与の幅を示している場合は、その範囲を目安にしよう。

求人広告に雇う側が給与を幅で示すことがあります。この幅から大きくはみ出す給与を勝ち取ることはほとんどないと考えてください。この幅の上限がその職場での最も能力・経験の高い人の給与だと考えればそれはわかると思います。その人よりも能力が低い、または経験も浅い人がベストな雇用者と同じ、またはそれ以上の給与を受け取ると、いずれそれが知れ渡り問題になってしまうからです。また、わざわざ給与の幅を示しているのは、その範囲の給料では絶対に嫌な人は申し込みを遠慮してもらおうという意図もあるものです。

ただ、ものすごい人材だからどうしても雇いたいと思わせられたなら、給与では出せなくても有給休暇の日数や研修費など、他の待遇を交渉できることがあります。

ステップアップ転職で給料アップを目指そう。

みなさん転職するにはそれぞれの理由があります。住む地域を変えたい、今の職場より人的環境が好ましいところで働きたい、通勤を楽にしたい、在宅ワークできる職場がいい、収入を増やしたい、今の職場ではない昇進やプロジェクトの機会が欲しい、職種自体を変えてしまいたい、など。

現職より責任が重いお仕事に応募するステップアップ転職なら、給料も大幅アップが望まれます。そのためにはもちろん日頃から、スキルアップのための努力が必要です。全く同じ仕事内容で給料だけを大幅アップさせたいなんて都合の良い話は、今の職場で残念ながら相場の下限に近いような給料をもらっているときくらいです。

ステップアップ転職を目指すなら、まずは今の職場で新しいプロジェクトを任せてもらうように交渉する、責任のある仕事を任せてもらうなど積極的に内部での機会に応募する、スキルアップになるクラスをとるなど。職場から出る研修費用など、使えるものはしっかり利用させてもらいましょう。

ちなみにお金を目的だけに重い責任の仕事に就くのは、大きな心理的負担があるのでよく考えてからにしましょう。個人的な論理ですが、責任=やりがい+ストレスだと思います。管理職になることにあまり興味もないのに、収入アップのために応募し興味も資質もないのに雇われてしまったら、後々、とても苦労する羽目になるだけでなく、他の人たちへの迷惑にもなります。それで自分の心身が参ってしまったら元も子もないのです。

オファーが出たら、今の職場でカウンターオファーがあるか聞いてみるのもあり。

晴れて今の職場より良い給与・条件を提示されたら、現在の職場でカウンターオファーがあるかどうか聞いてみるのも一つの方法です。あなたを引き留めたくて、財政的にも方針的にも現実的であるならば、他の雇用主が提示した額と同等またはそれに近い給与・条件に調整してくれる可能性は少なからずあります。ただこれは本当に今の職場に残りたいときにだけ有効と言えましょう。

なぜなら今の職場で給料が上がったとしても、そもそもあなたが転職を考えた要素がそのままになるからです。転職を考えた理由が給与だけだったとしてもです。もし給与に不満を持っていたならそれをどこかのタイミングで伝えるのは自分の責任です。それをしてもそれ相応の給与に調整してくれなくて、辞めると伝えてからでないと調整してくれない・・・「別れたい」といったとたんに急に優しくなる恋人、みたいな感じでしょうか?

カウンターオファーを受け入れて今の職場に残ったとして、年収が上がったのだから評価された満足感があってもそれが持続するのは短期間じゃないかな、と思います。それに雇用主にあなたは他の仕事を探している、と伝えてしまったことになります。ただ、アメリカではお互いに忠誠心がないのは普通です。転職を考えた理由が改善されたならもちろんそこに残る価値はあるかもしれません。

数年に一度は給料の見直し、転職を検討してみよう。

今の職場が気に入っていても、常にアンテナを張っておきましょう。私も自分の職種での募集が近くで出るとお知らせメールが来るように設定しています。同僚たちが常に興味のある仕事には応募しており、何度も面接をしてはオファーを断っているのを見聞きしてからそういう風にしました。そんな同僚たちもそのうち、それなりに満足の行く新しい職場を見つけて、去っていきました。中には興味のある職場がないから自分で作るといって、ビジネスを立ち上げた人たちも。

私も給料の見直し、交渉もしています。具体的に15%増しの額を提示されるところまで行ったのですが、残念ながら最終段階に入っていた時にコロナが始まり取り消しになってしまいました。けれどその間、私がリサーチしたことを幅広く同僚や友人たちに共有したところ、何人も給料の交渉に成功していますので、ぜひお試しください。いつか私も給与交渉・転職に成功した日にはまたブログでお知らせしたいと思います。

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