デンバー、観光スポット7選(穴場複数あり)!~日系アメリカ人の歴史をたどる旅シリーズ、デンバー編

デンバーで楽しいことがしたいけど、ちょっとユニークな観光をしたい。西海岸じゃないけど日系アメリカ人の歴史もあるのか知りたい。そんな疑問にお答えします。

本記事の内容

  • デンバーとデンバー郊外の見どころ7選(レストラン情報あり)
  • 日系アメリカ人の歴史。コロラドは唯一日系アメリカ人を歓迎した州だった。

コロラド州デンバーは大都市でありながら大自然へのアクセスが良く人気の観光都市です。アメリカで住みたい都市ランキングの常連でもあります。筆者の私もコロラド州を訪ねた後、引っ越したいと強く思ったほどです。見どころはたくさんありますが、今回はよく紹介されているミュージアムや植物園などはあえて外して、観光名所(プラス穴場)7つをセレクトして紹介していきます。

ユニオン駅(Union Station)とロウアー・ダウンタウン(LoDo)

ユニオン駅

空港からデンバーの中心地ユニオン駅まではAライン一本で40分!街の中心地まで空港から簡単に来ることができます。この辺りはロウアー・ダウンタウンを略してロードー(LoDo)と呼ばれており、建物自体が美しいユニオン駅、ちょっとした食品やランチを買うのに便利なホールフーズ、おしゃれな街並みが広がっています。電車が到着するのはユニオン駅の外なのでぜひ、ユニオン駅構内に入り素敵なレストラン、建物自体を堪能しましょう。古き時代のアメリカを感じさせます。屋外スタジアムのクアーズ・フィールド(Coors Field)で試合が行われる日には、多くのコロラド・ロッキーズのファンでごった返しています。川沿いに向かうと素敵なリバーフロントが広がっています。コンフルエンス公園(Confluence Park)では二つの川が合流しており、スタバでコーヒーを買って外で休憩する人や、自転車・キックボード、スケボーなどを楽しむ人々を眺めることができます。またアウトドア・グッズの大型店であるREIもあり、デンバーを出発点に大自然を旅行する場合にはここでアウドドア・グッズを購入、レンタル(レンタルは限られており予約必要)することができます。

ユニオン駅周辺やリバーフロントには多くの日本食レストランもあります。JINYA ラーメンバーめんやラーメン焼き肉の牛角、お寿司なら笹(Sushi Sasa)や浪人(Sushi Ronin)、ハワイアン・ジャパニーズならOhana Island Kitchen、居酒屋なら水居酒屋など。私は、Sushi Sasaでちらし寿司をいただきましたがすごいボリュームでびっくりでした。しかもちゃんとお味噌汁はお寿司と一緒がいいか聞いてくれて、アメリカでありがちな蓮華がお味噌汁に浸かっていることもありませんでした。

Sushi Sasaのちらし寿司はボリューム満点でした。 

16th Mall and Larimer Square

ダウンタウンの中心の通りである16番街はうれしいことに16番街を往復する無料シャトルバスが通っています。オフィス街になっており、屋外席のあるレストランやお買い物も楽しめます。そんな16番街からすぐ近くのラリマー・スクエアは歴史を感じさせるレンガ造りの建物がおしゃれに改装され、多くのレストランやブティークがあります。夜にはライトがともされてとてもロマンチックな雰囲気です。

桜スクエア (Sakura Square)

下に詳しく書きますが、かつて活気ある日系コミュニティがあったところに現存する桜スクエアは歴史を学ぶという意味で日本人の方にはぜひ訪れてほしい場所です。日本の学生時代に行った定食屋のような懐かしい雰囲気の桜ハウスでぜひ食事をし、日系コミュニティで大きな役割を担った人々の銅像も見学しましょう。

コロラド州議事堂(Capitol)

州議事堂では以前はツアーが行われていましたが、現在ではコロナの影響でツアーは中止されています。議事堂はコロラド産のピンクがかった大理石が使われており威厳ある雰囲気です。議事堂の外、西側の階段の15段目には「One Mile Above Sea Level」と刻まれており、ここがちょうど海抜1マイルとなります。デンバーはマイル・シティという愛称があるのは海抜1マイルだからです。

モーリー・ブラウン邸博物館(Molly Brown House Museum)

州議事堂からすぐ近くにあるモーリー・ブラウン邸博物館は、タイタニック号の沈没事故を生き延びたモーリー・ブラウンさんのお家を博物館にしたアトラクションです。お値段は大人の場合コロラド州住民が14ドル、州外の人は16ドル、ツアーつきです。自由と博愛の精神を持ち続けた一般女性が、金脈の発見を機に突如として富を築き、社会奉仕や世界旅行をして回る、そんな彼女の冒険心あふれる人生を描く博物館は当時の女性の生活の様子を知ることができる貴重な場所です。

レッド・ロック野外劇場(Red Rocks Park and Amphitheatre)

デンバーのダウンタウンから郊外へ車で30分ほどのところにあるレッド・ロックス公園と野外劇場は、ロッキー山脈に位置し世界で一番美しい野外劇場といってもいいのではないでしょうか。赤い巨岩が突き出る地形に自然の音響効果を最大限に活かして、とても美しい景色が広がっています。ここでコンサートを開いたのは世界的に有名な音楽家ばかり。ビートルズもライブを開いたそうです。日中は無料で公開されており、コンサート会場内の座席を利用して運動をする人を多く見かけます。劇場の周りにはハイキングコースもあり、レストランやお土産屋さんもあります。

レッドロックス野外劇場でエクササイズを楽しむ人たち 

デンバー郊外、ゴールデン(Golden )

デンバーの郊外にあるゴールデンは観光の穴場です。ダウンタウンにはクリア川(Clear Creek)が流れており、ホワイトウォーター・カヤッキングを楽しむ人たちを見ることができます(Clear Creek White Water Park)。川沿いの道を散歩していくとRVパークがあります。アメニティは特にないのですが、ロケーションの便利さが優れています。少ないですがテントのキャンプサイトもあります。車で少し行くとチムニー・ガルチ・トレール(Chimney Gulch Trail)があり、ハイキングも楽しめます。ホワイト・ランチ・パーク(White Ranch Park)にも素敵なハイキングコースや自転車コースがあります。この公園の入り口までの道には豪邸が立っていて、それを見るのも楽しめました。庶民の私は掃除とか電気代の心配とかしてしまいますが(笑)。ゴールデンの中心地から見えるテーブル・トップ・マウンテン( Table Top Mountain)に登ると2時間くらいかかってしまいますが、ハイキングコースが色々あるので時間を決めて楽しみましょう。デンバー周辺でのハイキングコースは特に週末は混雑します。人気なのに駐車場が小さいのと、朝早くに行って日中の暑さや人混みを避けようとする人が多いのか、かなり朝早く行かないと駐車できない事態があります。根気よく駐車場が空くのを待つ心の準備をしていきましょう。

6月の チムニー・ガルチ・トレール  
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デンバーにおける日系アメリカ人の歴史をたどる

デンバーですが、日系アメリカ人の存在は1900年初頭あたりからありました。中国人排斥の法律ができてから、日本人の人口が増え始めます。西海岸と同じく農業、採鉱、鉄道、家事の担い手などの労働者として日系人がコロラドへと移住してきました。当初からアジア人への反感が強い環境でしたが(1880年にはデンバーのチャイナタウンが放火されています)、一世たちはそんな環境の中で特に農業従事者として静かに成功をしたのでした。

真珠湾攻撃後に、日本人や日系アメリカ人の強制収容が始まったとき、コロラド州のカー知事は当時の政治家として唯一、日系人の強制収容は間違っていると声を上げました。カー知事は日系人をアメリカ人としてコロラド州に歓迎すると言い、多くの日系人が大統領令9066条が発動された直後にコロラドに移り住み、さらに多くの日系人が強制収容所から釈放されたのちに反日感情が強かった西海岸には戻らず、コロラド州にしばし移住したそうです。戦後まもなくは5000人ほどの日系人がデンバーは現在のLoDoの辺りに住んでいたそうです。かつては日系人のコミュニティは9ブロックほどの広さにわたり、多くの日系人が在住し、日系人が経営するビジネスや中心的存在のお寺など、活気のあるコミュニティがあったそうです。

そんな活気あるコミュニティが危機にさらされたのは、1960年代です。都市再開発という名目で多くのマイノリティの方々が立退きを余儀なくされ、日本街も例外ではありませんでした。地価が都市開発で上がり、もともと住んでいた低所得のコミュニティの人々が住めなくなる、いわゆるジェントリフィケーション(gentrification)を恐れて、コミュニティの中心的役割を果たしていたお寺がその一角を購入。残った日系アメリカ人はそこで経済・社会活動を続け、わずかながら日系アメリカ人のコミュニティが生き延びることができた、それが桜スクエアです。昔は日系アメリカ人が多く住んでいたタマイタワーと呼ばれる高層マンションの1階には懐かしいお母さんの味がする桜ハウス(Sakura House)という食堂もあります。パシフィック・マーカンタイル(Pacific Mercantile)は4世代77年間に渡り、日系アメリカ人に日本の食材を提供するスーパーマーケットです。元々はカリフォルニア州サクラメントで日本の食料品店を営んでいたものの強制収容で全てを失ったイナイ・ジョージ氏が、戦後にデンバーで開業したお店です。桜スクエアではすべてを失った日系人が再生する、そんな歴史を感じます。現在、タマイタワーの老朽化がすすんでおり、また再開発される日がいつか来ると思います。わずかながら残された日系アメリカ人の歴史を失わないような再開発を願っています。

桜スクエアには日系アメリカ人を歓迎してくれたカー元州知事、仏教の教えを説き日系コミュニティの中心的な存在を果たしていたタマイ・ヨシタキ尊師、さらにはデンバーゆかりで日系アメリカ人の地位向上に尽力したヤスイ・ミノル氏の銅像が立っているのでぜひ訪ねてみてください。ヤスイ・ミノル氏はデンバー在住でしたが、オレゴン州ポートランド出身で彼の功績はポートランドのブログで詳しく紹介しています。

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