アメリカ版JR、アムトラック利用のメリット・デメリット。人気の大都市から効率よく楽しめるおすすめコース3選も紹介。アムトラックが向いてる旅行とは?

広大なアメリカで列車の旅なんて効率が悪いのでは?メリット・デメリットを知りたい。それにアムトラックでの旅って安全なのか不安。お値段も気になる。おすすめのアムトラック旅行コースがあったら教えてほしい。

アムトラックはアメリカ版JR。駅は都市の中心部に位置していることがほとんどで着くなり観光可能と大きなメリットがあります。ニューヨーク~DC間、シアトル~バンクーバー、ロサンゼルス~サンタバーバラなどが気軽なアムトラック旅行やシカゴ~サンフランシスコなど長距離の景観ルートもおすすめです。特に東海岸では効率よくアムトラックで移動することができます。

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広大なアメリカで列車の旅?!アムトラックで人気の大都市から効率よく気軽に楽しめるおすすめコース3選も紹介

アメリカと言えばその広大さから長距離の移動手段は基本的に飛行機です。日本のように各地に新幹線が発達していないし、仮に発達していたとしてもロサンゼルスからニューヨークとか長距離過ぎて時間がかかりすぎるというデメリットがあります。そのためアメリカ旅行と考えるとまずは目的地まで飛行機で飛んで、その都市を楽しむか、そこからレンタカーして目的地まで運転していくかのどちらかしか知らない、という人は多くいるのではないでしょうか?なかにはグレーハウンドやメガバスなど長距離バスを利用する方もいると思いますが、もう少し予算があるという旅人にはぜひアムトラックも検討してほしいものです。

それに場所を選べば大都市から効率よく観光地を周ることもでき、長距離運転というストレスもなく車窓からの景色を楽しみながら旅行することができます。今回の記事ではアムトラックを利用するメリット・デメリットや大都市からアムトラックで週末旅行できるコースを3選、紹介していきます!

目次

アムトラックでの旅行のメリット・デメリット

アメリカは広いので飛行機や車での移動が主流です。でもそこであえてアムトラックをおすすめするには理由があります。

アムトラック旅行のメリット

  1. 区間によっては飛行機より安い
  2. 空港のようなセキュリティがない
  3. 手荷物もいっぱい持って入れる
  4. アムトラックの駅は観光に便利なところにある
  5. 座席が広々している
  6. 長距離列車なら他の乗客との交流もあり旅気分を味わえる
  7. 車窓からの景色がすばらしい

区間によっては飛行機より安い

アムトラックのお値段は飛行機と同じで区間や時期により変動しますが、飛行機と競合している区間だと意外に安くで行くことができます。例えばミネアポリスからシカゴまで飛行機で飛ぶと往復240ドルくらいです。同じ日程でアムトラックは188ドル!少しお得感です。

もっと短距離で人気のアムトラックの区間といえばニューヨークのペン・ステーションからワシントンDCのユニオン・ステーションが代表的です。仕事で利用する人も多く、空港へ行くよりも時間のロスが少なく人気の区間です。少し時間のかかる列車を選ぶと片道41~62ドルで3時間30分ほどかかります。もっと早い便に乗ると71ドルで2時間56分かかります。同じ区間を飛行機で飛ぶと141ドルで1時間半かかりますね。

もっと長距離にしてしまうと飛行機の方が少し価格は安くなります。例えばシカゴからサンフランシスコまで飛行機で飛ぶと、片道が208ドルであるのに対して、アムトラックではコーチクラス(いわゆるエコノミークラス)が271ドル。さらに時間が52時間かかります(笑)。

時間をかけてもいい場合、何らかの理由で飛行機に乗りたくない場合、寝台列車で楽しみたい方は、ぜひアムトラックのチケットも調べて飛行機と比較検討するのがよさそうです。

空港のようなセキュリティがない

アムトラックにはセキュリティーチェックがありません。チケットを準備して後は電車が来るのを待つのみ。チケットもオンラインで購入できるので、事前に購入しておけば当日は駅にやってくるだけで乗ることができます。空港のセキュリティって運が悪いとかなり並んで、ストレスになりますよね。何しろ事前にどれだけ混んでいるのかあまり予想がつかないので、かなり早くに空港に到着しておかないといけなくなり、飛行時間は短くても空港で過ごす時間が長くなりがちです。そのため飛行機で旅行する場合、どうしても時間のロスがあるのです。その点、アムトラックならセキュリティがないのである程度早めに駅についておけばよいだけです。新幹線の感覚で乗ることができるのです。

手荷物も無料でいっぱい持って入ることができる

アムトラックの車内にはかなりの量の荷物を持って入ることができます。車内持込はキャリーオンが各50ポンドの荷物を2つ、手荷物(ハンドバッグやバックパックなど)が各25ポンドの荷物を2つまで持ち込めます。飛行機だと荷物がほとんどない時はいいのですが、荷物が多いと色々追加料金がかかってしまうので、荷物が多いけれど車で移動したくない場合はアムトラックの方が安くつくでしょう。

アムトラックの駅は観光に便利なところにある

空港って中心地から離れていることが多くあります。空港に到着してから観光をするための中心地にあるホテルまで行くのに、時間とお金がかかってしまうことが多々あります。例えば私はニューヨークのJFK空港は中心地から遠いのでなるべく避けています。ラガーディア空港でも、マンハッタンから行き来するのは面倒です。空港と中心地が近くて感動したのはサンディエゴくらいです。

その点、アムトラックの駅は多くの場合はダウンタウンに位置していて観光にとても便利!ニューヨークならペン・ステーションだし、シカゴならユニオン・ステーション、ロサンゼルスもユニオン・ステーションとどの都市もとても便利なところにアムトラックの駅があります。電車を降りて即、観光開始ができるのです!

座席が広々している

アムトラックの一番安い席はコーチクラスです。といっても日本の新幹線と同じかそれ以上の大きさがあります。リクライニングもかなりできます。足元は新幹線よりもゆったりしていて、8時間くらいならコーチクラスでも十分です。写真でお分かりのようにコンセントもついています。ただし田舎を通過中は圏外となってしまうことが多いので、映画など見たい場合は事前にダウンロードしておきましょう。

コーチクラスでも足元ゆったり

他の乗客との交流もあり旅気分を味わえる

長距離のアムトラック列車には必ずと言っていいほど、展望車があります。展望車で景色を眺めながらゆっくり。旅行でゆったりとした気分の人たちは自然と社交的になるのか、お隣さん同士でお話が始まることもしばしばあります。旅行しながら周りの人とお話したいなら、絶対に飛行機よりもお話できると思います。この展望車ですが、座席のクラスに関わらずすべての乗客が利用することができるので、ぜひ行ってみましょう。

展望車は乗客だれでも利用可

車窓からの景色がすばらしい

車窓からの眺めは飛行機とは違った魅力があります。上空から眺めるのも素敵ですが、車窓からだとすべてが近く、運が良ければ野生動物を見ることもできます。西海岸の太平洋沿岸だと海が間近で見れてとても気持ちいいですし、私がミネソタからモンタナまでアムトラックで旅行した時は、まっ平らで緑豊かなミネソタから徐々に地形が変わっていく様子を見れてとても楽しかったです。グレーシャー国立公園の近くに入ると、パークレンジャーの人が乗り込んで来て展望車でグレーシャー国立公園のことを話してくれたりして、とても勉強にもなりました。飛行機や車ではない経験ではないでしょうか。

アムトラック旅行のデメリット

  1. 区間によっては飛行機より高い
  2. 時間がかかる
  3. 車内での食べ物のオプションが限られている

区間によっては飛行機より高い

もちろんアムトラックが飛行機よりお値段が高くついてしまうことは多々あります。どうしても走行時間は飛行機よりかかってしまうので、あまりに長距離の移動は寝台車を検討したくなりますよね?残念ながら寝台車のお値段はかなり高いのです。例えば景色が良いことで有名なカリフォルニア・ゼファー号はデンバーとサンフランシスコ間がロッキー山脈を通り抜けアメリカで一番美しい路線と言われています。ただしその区間にかかる時間はなんと33時間デンバーから西へ向かうようにいくと朝の8時に出発して翌日の午後5時にサンフランシスコに到着します。その間、コーチクラスで乗り切るならば189ドル(時期による変動あり)。寝台車を利用するならブログ執筆時の価格が一番小さい部屋で795ドル!二人で利用するなら984ドルです。飛行機ならこのお値段でならハワイまで行けてしまいそうですよね。

時間がかかる

当たり前なんですが、飛行機より走行時間がかかります。長距離移動でスピードを優先したいなら間違いなく飛行機を選択するべきでしょう。中距離での移動の場合は空港まで行く手間やセキュリティを通過する、ゲートで待つ、空港に到着してから目的地までの移動時間を短縮できるので、飛行機に乗るよりアムトラックが結果的に早いことはあります。ニューヨーク~ワシントンD.C.間が一例だと思います。

飛ぶのがちょっと怖い方は少し余分に時間がかかる程度ならアムトラックがいいかなというのはあります。ミネソタからシカゴまで約8時間弱。飛行機で行くとなると、空港に1時間半前に行って、2時間飛んで、着陸から1時間くらいでシカゴのダウンタウンに行けると考えると合計5時間くらいでしょうか?それならまあ出発・到着の時間次第ではアムトラックでもいいかも、と思うこともあります。ただし、こういう距離だと車でも行けてしまうので、飛行機または車という選択をしてしまうのかもしれませんね。

時間がかかることの一番の問題は、貴重な休暇の時間を車内で過ごす価値があるかどうかにつきるでしょう。現実的には列車に乗っていること自体がアトラクション的な景観路線や自分が電車オタクであること、または近距離(2~3時間)での移動の場合にアムトラックがおすすめです。

車内での食べ物のオプションが限られている

デンバー~サンフランシスコ間のカリフォルニア・ゼファー号は33時間かかると上述しました。33時間も乗っていたら最低3食食べますよね?カフェテリアの特においしくもない軽食でも普通のレストランくらいのお値段は覚悟しましょう。もし食堂車に行くのならちゃんとしたお味ですが、お値段はそこそこいいレストランくらいです。以前に長距離で利用した際は好きな時にレストランに行くのではなく、事前に予約が必要なようでした。考えたくなかったので、カフェテリアで済ませたのですが、コーチクラスにするならクーラーバッグで食事を持込んで節約してもいいですね。さらに食事を温められるグッズを持っていくとばっちりです。長距離で寝台車を予約した場合は食事はチケット代に含まれています

アムトラックは安全な交通手段

アメリカを格安のお値段で移動できる長距離バスではバスターミナルのあたりの治安が怪しいことがあります。アムトラックの駅も場所によっては少し治安が微妙な場所に位置していることがあります。ダウンタウンなど繁華街に位置している場合は、どうしても郊外や高級住宅街などと比べて治安が劣ってしまいます。事前に駅の辺りの治安を調べて、夜遅くや早朝に到着する場合はホテルまでの移動のプランを立てておきましょう。私は個人的には大きな後れを経験したことはありませんが、アムトラックはかなりの確率で遅延すると言われています。日中に着く予定であっても夜になる可能性もあるので、事前にライドシェアのアプリをダウンロード、設定しておくなど宿泊場所への移動手段は考えておきましょう。

アムトラックの車内はとても安全です。もちろん貴重品をおいてトイレや展望車に行くのはNG 。一人で旅する場合はそこは注意が必要です。荷物を預け入れできる場合はそうして、手荷物は少なめがいいでしょう。キャリーオンくらいの大きさの荷物なら座席上の棚に乗せられます。長距離で寝台車両に乗る場合は、中からは鍵がかけられるのですが外からはかけられないので注意が必要です。めったにないことだと思いますが問題行動を起こしている乗客は悪質な場合はすぐに下車させられるので安心です。

アムトラックはこの1年で死亡事故が何件かありました。脱線事故でいずれも乗客の方が数名亡くなりました。こういうことは非常に稀です。通常、万一事故があっても乗客がケガをするようなことはほとんどありません。ロードトリップより安全です。飛行機は確率的には一番安全と言われていますから、それには及ばないですが、アムトラックも安全対策はしっかり行っているようです。

チケットを安く購入する方法

アムトラックのホームページからウェブ購入できます。色んなディスカウントがあるので画面上のDEALS(安売り)をクリックして、その時のクーポンをチェック。例えばシニアは常に1割引です。アムトラックの値段は飛行機と同様で変動します。年に数回とまれですが1チケット買えば同伴者は無料なんてBOGO(Buy One Get One Free)セールもありますから、こまめにチェックするかフェイスブックでアムトラックをフォローするなどしてみてください。もしアムトラックを愛用する方ならアムトラックのクレジットカードならポイントを貯める他、同伴者のチケットを無料でもらえる特典もついているので、検討してみてもよいでしょう。

駅での購入もありですが、人気路線や中・長距離の場合は早めにウェブでの購入をおすすめします。早めに買う方が安いし、待つと売り切れてしまう可能性もあります。

人気都市から気軽に行けるアムトラック旅行おすすめ3選

ロサンゼルスからサンタバーバラ (2時間半)

ロサンゼルスのユニオン駅から数時間行くだけで、サンタバーバラのダウンタウンに到着することができます。車窓からの眺めは美しい太平洋!サンタバーバラに到着したらダウンタウンだけで十分観光が楽しめるのでレンタカーも不要です。少し足を延ばしたいならライドシェアやトローリーバスが便利です。ロサンゼルスから2泊3日などの週末旅行におすすめです。

サンタバーバラはまるでスペインにいるかのような雰囲気

シアトルからカナダのバンクーバー (4時間)

シアトルからカナダのバンクーバーへ向かうカスケード号は海岸沿いを走ってくれて景色も最高です。2023年2月土曜日のコーチクラス片道料金がたったの44ドルでした。コロナ禍で中断していた運行が復活しました!国境を渡るので必要書類をきちんと調べてから旅行してみましょう。ポートランド方面にもバンクーバーという都市があるので、乗り間違いのないように注意しましょう。

シアトルは海も山もあり食べ物もおいしい!

ニューヨークからワシントンDC (アムトラックの便により3時間から3時間40分)

ニューヨーク観光とワシントン観光両方を楽しむならアムトラックが便利!どちらの都市も車なしの方が楽しめます。ニューヨークで目いっぱい遊んだ後、DC でスミソニアン博物館や国会議事堂巡りも楽しそうですね。

アメリカの首都、ワシントンDCは絶対に訪れてほしい場所

注意点

  • アムトラックは貨物列車の線路を利用しているので、貨物列車が優先になるため信号待ちが発生することが多々あります。
  • そのためかなりの確率で遅延が発生します。アムトラックの長距離路線に乗るなら到着先の一泊目のホテルはキャンセル可能、同日に飛行機やクルーズなどの予定は組まないようにしましょう。
  • 空港や日本の駅と比べると、駅のプラットフォームがわかりにくい。表示があまりないし、駅員さんも見当たらないことが多々です。一つしかプラットフォームがないような駅なら大丈夫ですが、ロサンゼルスからサンタバーバラへ行くときはちょっと迷いました。日本の駅をイメージして行くと、案内のなさにカルチャーショックを受けます。
  • 座席もアバウト。ちゃんと座席を指定したチケットを持っていても、別の席に誘導されたり、他の人が同じ座席の番号もってたりします(実体験)。
  • ダイニングカーも軽食のカフェもお値段高め。中・短距離なら食べ物は持ち込むのがおすすめです。ダイニングカーの食事はちゃんとおいしいです。長距離の場合は寝台を予約すると食事がついてきます
  • チップは人それぞれですが、寝台車の場合はお部屋を担当してくれる人がいます。目安ですが一晩5ドルほど渡しましょう。食事は朝食2ドル、昼食3ドル、夕食5ドルくらいでしょうか。現金で用意しておきましょう。
  • 荷物の預入れは発車の24時間前から無料で可能!荷物を預入れてから駅周辺を身軽に散策できます。ただし預入れができるのは基本的に大きな駅のみです。

まとめ

列車の旅というとヨーロッパのイメージがあったかもしれませんが、アメリカでも楽しめます!最近では飛行機は環境に悪いといって遠くても列車を使うのもヨーロッパで人気になっていますね。ぜひストレスの少ないアムトラックの旅をおすすめします。

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この記事を書いた人

ミネアポリス在住。アメリカの大自然や多文化に魅了された旅ブロガー。アウトドア系の旅行が特に好きで一人旅も多い。ちょっと怖がりなのでそれを克服する動機としてブログ開設。小心者の視点からのブログで同じような性格の女性にもアメリカ旅行を身近にしていきたいと願っている。

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