アメリカ大陸横断、車窓からロッキー山脈や砂漠の眺めがすごいアムトラック旅行のおすすめルート3選!

エンパイア・ビルダーの車窓からの眺め

車窓からアメリカの大自然を眺めながらアメリカを横断する旅行がしたい。アムトラックの長距離ルートで景色がきれいな旅行を提案してほしい!

車を運転する必要もなく、ゆったりと車窓からの眺めを楽しめる列車での旅行はアメリカでも楽しめます!絶景の山だけでなく、海、砂漠もアムトラックの車窓から見ることができ、とてもおすすめです。ただし遅延を見据えてゆったりめに日程を組むなど対策も必要。おすすめの長距離ルートとアムトラックの旅を成功させるコツを公開!

目次

アムトラックで楽しむアメリカ横断旅行の魅力

アメリカのJR的存在である長距離列車はアムトラック(Amtrak)です。ものすごい距離を網羅しておりアメリカを列車で縦断・横断することができます。日本の新幹線とは異なり、東海岸の一部の路線を除きJRの古い特急列車をイメージしていただけるとよいと思います。

アムトラックとは?アメリカの鉄道の歴史

アメリカを網羅するアムトラックはなんとアメリカ本土の46州を走行しています。アメリカ本土でアムトラックがない州はサウスダコタ州とワイオミング州のみ。19世紀はほとんどすべての旅行者が列車でアメリカを移動していましたが、飛行機や車での旅行や輸送が主流になり徐々に鉄道各社が衰退。次々と鉄道会社が撤退するなか、全米を網羅する交通機関が失われる可能性に危機感を感じた政府が介入して1970年代頃にアメリカ本土すべてを管轄するアムトラック社が登場。2000年代には東海岸の主要都市をつなぐアセラ号(Acela)も登場、長距離だけでなく中距離をつなぐ新しい列車も州政府とアムトラックが協力して今後、増設されていく予定です。

最新のルートはミネソタ、ウィスコンシン、イリノイ州が協力して作った「北」を意味する中距離のボリアリス(Borealis)号で2024年5月よりシカゴ~ミネアポリス間で開通しました!

アメリカ大陸横断、アムトラックでの旅の魅力とは (横断ルートの概要と特徴)

アメリカはとにかく広く地域により全く異なった景色を楽しむことができます。長距離ルートの魅力はなんといっても変わりゆく車窓からの眺めです。初めは緑豊かで地平線が見えていたのが徐々に砂漠のようになり、アルプスのような山を通るなどの変化がとても楽しいのです。こういった距離を車で運転しようとするととても大変です。長距離列車での旅行なら、ゆっくりと車窓から景色を眺めるだけ。運転のストレスは皆無です。

アメリカの長距離列車の魅力をざっとあげると以下の通りです。

  • ロッキー山脈、シエラネバダ山脈、アパラチア山脈などを通る路線は山や渓谷が美しい
  • 中西部を通過する際はアメリカの田舎らしい広大な農場と地平線を見ることができる
  • サウスウェストには赤い岩肌の渓谷や砂漠の景色が広がっていて路線によりメキシコを見渡すこともできる
  • 西海岸の路線では太平洋に沈む夕日を眺めることができ、五大湖周辺のルートでは湖沿いを走ることができる
アムトラックの長距離路線マップ アムトラックのホームページより

アメリカ横断シーニックルート、トップ3

ロッキー山脈 Photo by Clay Banks

1.カリフォルニア・ゼファー:シカゴ~サンフランシスコ間 ★★★

アムトラックの景観、遠距離ルートで最も人気はシカゴとサンフランシスコ間を走るカリフォルニア・ゼファー号(California Zephyr)です。シカゴから西へ向かうと中西部のまっ平らな地平線の見える農業地帯を通りすぎ、ミシシッピ川を渡り、ロッキー山脈のコロラド川の渓谷沿いを通過後、ユタ州とコロラド州の堺にある赤い岩肌が魅力なキャニオンや砂漠の景色、さらにはカリフォルニア州のシアラネバダ山脈を通過してサンフランシスコ(正確にはサンフランシスコ近郊のエメリービル)に到着します。

  • 本数:各方面とも1日1本のみ
  • 全長走行時間52時間
  • コーチクラスお値段の目安:通常100ドル、繁忙期220ドルほど
  • 寝台車のお値段の目安:通常700ドルから、繁忙期1,300ドルから
  • 主要駅:シカゴ、オマハ、リンカーン、デンバー、ソルトレイクシティ、エメリービル(サンフランシスコ)
  • 最も景色がきれいな区間:デンバーとソルトレイクシティ間
  • ベストシーズン:9月の後半から10月の始めが黄葉が見れてきれい。冬も雪景色が美しいが日照時間が減ってしまう。その代わりお値段は安くなる。
  • おすすめの方面:シカゴからサンフランシスコへの西向きがデンバーを朝出発し景色がきれいな場所を明るい時間帯に通過するので人気だが、東方面も美しい。どちら方面も明るい時間帯に一番きれいな場所を通過するが遅延があると東方面へ向かう便はデンバー付近が夜になる可能性がある。
  • おすすめの座席:両サイドきれいだが、デンバーを通過後のコロラド川渓谷通過時は南側(西へ向かっている場合は左側)がややおすすめ

西向き:シカゴから西へサンフランシスコへ向かう場合

2024年の時刻表によるとシカゴ発が2:00PM、イリノイを日中、アイオワとネブラスカを夜、デンバーに朝到着します。ここからユタとの州境がロッキー山脈と通り最も美しいと言われる区間です。デンバーで朝日を迎えてから山に登っていくので、気分が盛り上がります。ソルトレイクシティには夜に到着。ネバダの大多数を夜に通過、リノに朝到着し、カリフォルニアは日中、エメリービルに5PMに到着します。遅延があるとエメリービルに暗くなってから到着になるのが気になりますが、エメリービルのアムトラックの駅の目の前にハイアットを含めいくつかホテルがあるのでそこに宿泊すると安心です。オプションでここからアムトラックのバスにのりサンフランシスコへ向かうこともできます。その場合はサンフランシスコまでのチケットを購入しておきましょう。

東向き:サンフランシスコから東へシカゴへ向かう場合

2024年の時刻表によるとエメリービル発が8:25AM、カリフォルニアは日中、ネバダを通過中に日が沈みソルトレイクシティは夜中に到着するもののユタからコロラドの州境に達する頃には日が昇り、ロッキー山脈の景色を楽しむことができます。デンバーには7PM頃に到着します。冬だと日が暮れているのでロッキー山脈を一部見損ねてしまうのと、電車が遅延すると肝心のロッキー山脈の通過が暗くなってしまう可能性があります。時間通りにすすむとネブラスカを夜に通過し、日中にアイオワを通過しシカゴに2:39PMに到着します。

時短ハイライト区間

時短したい場合はデンバーとエメリービルの間だけ乗り景色の一番きれいな部分を楽しみましょう。朝の8:46AMにデンバーを出発し、翌日の夕方5PMにエメリービルに到着。33時間11分の旅となります。エメリービルからデンバーへ東向きに乗るとエメリービルを朝の8:25AMに出発しデンバーに翌夕方の6時半に到着します。

西向きに行くとデンバーからすぐ景色が良くなるので、旅の初めから気分が盛り上がります。

2.エンパイア・ビルダー:シカゴ~シアトルまたはポートランド間 ★★★

グレーシャー国立公園 photo by Michael Kirsh

シカゴ~シアトルまたはポートランド間を走るエンパイア・ビルダー号(Empire Builder)も景色が美しく人気の長距離ルートです。シカゴから出発するとミシガン湖沿いを北上しウィスコンシンへ、ミネソタへの州境ではミシシッピ川沿いをしばらく走り、セントポール・ミネアポリスへ到着。湖や川以外は牧歌的な風景ですが、ノースダコタの西側、セオドアルーズベルト国立公園のある辺りの乾燥した風景が美しいです。その後モンタナ州の東側はゆったりとした風景が続きますが、ロッキー山脈に差し掛かる頃にグレーシャー国立公園のレンジャーが季節により展望車に乗り込んで、公園の歴史などをお話してくれるというアトラクションも。ロッキー山脈を越えると、ワシントン州のスポケーンにて列車はシアトル行きとポートランド行きの2つに分かれます。どちらの方面もカスケード山脈を通過して最終目的地へ到着します。

  • 本数:各方面とも1日1本のみ
  • 全長走行時間46時間
  • コーチクラスお値段の目安:通常100ドル、繁忙期300ドルほど
  • 寝台車のお値段の目安:通常620ドルから、繁忙期760ドルほどから
  • 主要駅:シカゴ、ミルウォーキー、セントポール・ミネアポリス、ファーゴ、ホワイトフィッシュ、スポケーン、シアトルまたはポートランド
  • 最も景色がきれいな区間:シアトルまたはポートランドからイーストグレーシャー間、ノースダコタ西側のセオドアルーズベルト国立公園付近、レッドウィング~ウィノナのミシシッピ川沿い
  • ベストシーズン:緯度が高い地域なので冬は日照時間が短く夏は長いので夏がおすすめ。冬景色が見たいなら日照時間が長くなる3月がよい。
  • おすすめの方面:シアトルまたはポートランドからシカゴへの東向きがグレーシャー国立公園を明るい時間帯に通過するので人気だが、ノースダコタのきれいな場所は夜になる。西向きの場合はグレーシャー国立公園付近が夜になってしまうがノースダコタは日中に通過する。
  • おすすめの座席:両サイドきれいだがシアトル方面なら海側(東方面へ向かうなら左側)、ポートランドからなら南側(東方面へ向かうなら右側)。グレーシャー国立公園の辺りは北側(東方面へ向かうなら左側)がおすすめ。ミシシッピ川沿いは線路の西側(東方面へ向かうなら右側)です。

西向き:シカゴから西へシアトルまたはポートランドへ向かう場合

2024年の時刻表によるとシカゴ発が3:05PM、イリノイとウィスコンシンのほとんどを日中に通過するが、ミネソタへ到着するミシシッピ川沿いの地域は日が暮れてから。夏ならば夕暮れ時で景色を見れる可能性あり。ミネソタを夜に通過し、ノースダコタを日中通過するのでセオドアルーズベルト国立公園の辺りの地形を見ることができる。グレーシャー国立公園に着くころには夏なら夕暮れ時、冬なら暗くて景色を見ることができない。スポケーンで列車が別れるが、シアトル方面はカスケード山脈の辺りは暗くなってしまい、長いトンネルもあるのであまり景色を楽しめない。シアトルには11:29AMに到着ポートランド方面はコロンビア渓谷を通るので景色が良くおすすめ。ポートランドには11:17AMに到着します。

ポートランドからアムトラックのカスケード号(Cascade)に乗ってカナダのバンクーバーまで行くとコロンビア渓谷、ピュージェットサウンドを通りまるで海の上を列車で走るかのような幻想的な風景を見ることができます。

東向き:シアトルまたはポートランドから東へシカゴ方面へ向かう場合

2024年の時刻表によるとシアトル発が4:55PM、ポートランド発が4:45PMシアトルを出てすぐにピュージェットサウンドを通過し、太平洋を見ることができます。シアトルからはカスケード山脈の辺りにとても長いトンネルがあり景色が見られません。ポートランドからだとコロンビア渓谷沿いを通りカスケード山脈のきれいな景色を楽しむことができます。スポケーンには夜中に到着、2つの列車が結合されてシカゴへと向かい、グレーシャー国立公園は日中に通過。その後、モンタナののどかな風景が長く続きノースダコタに入るころには日が暮れますが、夏なら夕暮れ時にセオドアルーズベルト国立公園付近の景色が見れるかも。その後ノースダコタの大部分を夜中に通過し、ミネソタに到着する頃には夜が明け、ウィスコンシンとの州境のミシシッピ川沿いの景色を楽しめる。シカゴに4:45PMに到着する。

ポートランドから東向きにシカゴ方面へ向かうのがシアトルよりややおすすめです。緯度が高いため夏はとても日が長く夜の9時ごろまで景色を見ることができますが、雪景色も幻想的です。

時短ハイライト区間

途中に大きな空港がミネアポリスくらいしかないので時短が難しいルートです。西海岸からシカゴ方面へ向かうのに途中下車するなら大きな空港のあるセントポール・ミネアポリスで下車するとよいでしょう。ミシシッピ川沿いの景色は見逃しますが、ミネアポリスとセントポールでミシシッピ川を観光すればよいでしょう。

3.サウスウェスト・チーフ:シカゴ~ロサンゼルス ★★★

化石の森国立公園 Photo by Scott Blake

シカゴ~ロサンゼルス間を走るサウスウェスト・チーフ号(Southwest Chief)はまるでウェスターン映画に出てくるような景色を車窓から眺めることができます。それもそのはず、かつてはハリウッドから映画の撮影のために映画スターたちが乗車するルートだったのです。ロサンゼルスから出発するとカリフォルニアを横切りアリゾナ州のパワースポット、フラッグスタッフを夜に通り化石の森国立公園を横切って、ニューメキシコ州のアルバカーキ、サンタフェ近くを通りコロラド州境近くの峠であるラトンパスへ抜けてからカンザス、ミズーリ、アイオワをかすって、シカゴへと向かいます。

最も美しい区間はニューメキシコの風景とラトンパスです。

  • 本数:各方面とも1日1本のみ
  • 全長走行時間43時間半
  • コーチクラスお値段の目安:通常150ドル、繁忙期220ドルほど
  • 寝台車のお値段の目安:通常800ドルから、繁忙期1,400ドルほどから
  • 主要駅:シカゴ、カンザスシティ、アルバカーキ、フラッグスタッフ、ロサンゼルス
  • 最も景色がきれいな区間:アリゾナとニューメキシコ州境からコロラド州までの間
  • ベストシーズン:やはり日照時間の長い夏がよいが混雑を避けるなら4月や9月がよい。
  • おすすめの方面:どちらもよいがロサンゼルスからシカゴへ東行きが一夜明けたところからニューメキシコにさしかかるので気分が盛り上がる。西行きだと夏ならフラッグスタッフまで明るいのでそれもいい。ラトンパスはどちら向きでも日中に通る。
  • おすすめの座席:両サイドきれいだがニューメキシコ通過中は北側(東行きなら左側座席)がきれい。ミズーリからアイオワに入ってすぐのミシシッピ川は東側(東行きなら右側座席)に見える。

西向き:シカゴから西へロサンゼルスへ向かう場合

2024年の時刻表によるとシカゴ発が2:25PM、イリノイとアイオワは日中に通過するのでミシシッピ川を夕方に見ることができる。ミズーリとカンザスは夜中に通過、朝の6時頃にコロラドに着きます。ラトンパスは午前中に通過し、ニューメキシコは日中です。フラッグスタッフには8:09PMに到着するので、夏ならまだ日がある時間帯です。その後アリゾナとカリフォルニアを夜中に通過し、ロサンゼルスに近くなるころに日が開け朝7:57AMにロサンゼルスへ到着します。

夏だとニューメキシコだけでなくアリゾナの景色も楽しめます。緑豊かな山ではなく砂漠の景色をイメージしてください。

東向き:ロサンゼルスから東へシカゴ方面へ向かう場合

2024年の時刻表によるとロサンゼルス発が5:22PM。カリフォルニアを横断中に日が暮れフラッグスタッフは3:55AMなので景色を見ることはできません。ニューメキシコに近くなるころに夜が明けて、ニューメキシコからコロラドのほとんどが日中。カンザスを夜に通過し、早朝の6:26AMにカンザスシティに到着するのでここで降りる人には便利。ミズーリ、アイオワ、イリノイとずっと日中でシカゴに2:42PMに到着します。

ロサンゼルスを夕方に出て翌朝に景色がいい場所なので東向きも捨てがたくて悩ましい。

時短ハイライト区間

途中の大きな空港はカンザスシティです。シカゴからカンザスの田園風景ものんびりしていてゆったりできますが、絶景はコロラド~ニューメキシコとアリゾナの州境辺りです。ロサンゼルスとカンザスシティ間だけに絞ると35時間です。ただシカゴの方が安い航空券を見つけやすいかも。

まとめ

車を運転する必要もなくゆったりと車窓からの眺めを楽しめる列車でのアメリカ横断はとてもリラックスできておすすめです!飛行機では見られないアメリカの地形の変化を見ることができます。長く列車に乗っているので、できることなら寝台車を予約するとストレスを減らして楽しむことができます。アムトラックのチケットの取り方や、少しでもお値段を安くする方法、座席の種類などは後日、書下ろし予定なのでぜひブログ更新のお知らせメール登録をお願いします。

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この記事を書いた人

ミネアポリス在住。アメリカの大自然や多文化に魅了された旅ブロガー。アウトドア系の旅行が特に好きで一人旅も多い。ちょっと怖がりなのでそれを克服する動機としてブログ開設。小心者の視点からのブログで同じような性格の女性にもアメリカ旅行を身近にしていきたいと願っている。

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